カタログ。

子供の頃、育った町には専門店やデパートはあったけれど、欲しい商品が必ずしも店頭に陳列されているわけではありませんでした。

進学祝いにラジカセを買ってもらうときや、小遣いを貯めてギターを買いたいと思ったときも、まずは店頭でカタログを貰ってきて品定めをし、取り寄せてもらって数週間後の入荷を待って購入に踏み切るという手筈。
だから子供の頃からカタログを見る機会が多かった。

当時、周囲の子供と自分が明らかに違ったのは、「どうして白い頁に白いギターの写真が溶け込んで輪郭が見えないのだろう?」とか、「A社とB社のラジカセは同じ価格帯の商品なのに、どうしてA社の方が高そうに見えるのだろう?」というカタログの作り方に想いを巡らしていたと言う事。そのうち、メーカー名がを見ないでも「この作りは〜社のカタログだ。」とわかるように。

そしていつしか商品自体よりも、カタログのの仕上げ方に興味が移行していきました。「写真」は幼い頃から馴染みがあったけど、「商品写真」に関心を持ったのはこの頃から。

上の画像は某ギターメーカーのカタログです。
右のボロボロな方は、普段眺めているものだけれど、本棚を整理していたら新品同様の一冊が出てきました。
7年程前に入手したものだけれど、今でも研究熱心(?)なせいか、無惨な姿に。「ここまで見てくれたら、カタログを創ったスタッフは幸せだろうな」と、同業者を羨ましく思うのでありました。
(というか、大人になっても変わらないというか、成長してない_。)
教科書をこれくらい読み込んでいたら、もっと違う人生も開けていたのかもしれません。

今はネットで情報収集、品定めしてワンクリックで発注_。とシンプルな時代になったけれど、僕はカタログを見て「これを買うために頑張ろう。」とか、想いを巡らす時間が好きです。

そんな事を考えていたら、知り合いのデザイナーの太田竜郎氏が僕と同じような想いから現職に就かれた経緯が書かれていて、とても嬉しかった。

http://banapa.co.jp/wordpress/
(「Wanted!!」の頁。)

ちなみに太田氏が憧れていたものと同機種のミニコンポを、幸い僕の兄は所有することができました。その後、僕が譲り受けてこのカタログ同様にボロボロになるまで使い倒しました。

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