前々回はカメラの話に触れましたが、やはり皆さんご関心がおありなのですね。
意外な反響がありました。
先日も「ブログの画像は写メです。」と書いたら、これも驚かれました。
僕の腕じゃなく、携帯電話の性能が良いだけですが、アシスタント達たちからも
「何使って撮っても、同じように撮るんですね。」とよく言われます。
(褒め言葉としてとっておこう。。)
他にも撮影方法に関しての質問を受けることがあります。
僕としても言及できることと、できない(したくない)ことがありますが
差し障りない範囲でお伝えします。
大抵のことはお話ししても構わないのですが、やはり撮影の現場やギャラリーに直接いらして下さった方とお話しする方が楽しいですから。。。
というわけで、まずは昨年ギャラリー・ヴィグロワで発表した「Breath.」のことから。
これは独立した1999年から約8年に渡って撮り続けてきたシリーズですが、すべてポジフィルム撮影です。(FUJI RDPⅢ Provia)
使用機材はTOYO-VIEW 4×5。(一部 8×10カメラ&フィルム使用。)レンズはシュナイダー社のアポ・ジンマー240mm。(8×10使用時は360mm。)
すべてストロボ(COMET CX-2400)1〜6灯で照明。絞り値はほとんどが f32.1/2 近辺です。
このTOYO-VIEWというカメラはデジタル化になった広告撮影の現場でも第一線で使用しています。シンプルですが拡張性があり気に入っています。
余談ですが昨年の震災で1台が破損してしまいました。パーツを組み替えて使えるのがこの機材の良いところなので、使える部品はひっそりと待機しています。
さて、作品の話に戻ります。
白背景と黒背景のパターンがありますが白背景はライト2灯で白くしています。
黒背景の作品は黒い布を背景にしています。
当時、自分の持つテクニックのほとんどを出し切ったといえるシリーズでしたが、技術だけが際立たないよう意識していました。
今思うと、乳半アクリルの透過光で白背景を作るあたりが、商品撮影を中心にキャリアをスタートさせた自分らしかったですね。
初めてこの作品を抱えてギャラリーの門をくぐった時から「これってパソコンで画像合成しているんですよね。」と(ギャラリストにも)当たり前に言われ続けています。
ですが、ポジで撮影したものをスキャンしてPCを通して出力はしているものの、花の形を変えたり、合成は一切していません。
このシリーズではPhotoshopを使うのはスキャン時に付着したゴミ取りと濃度、色調整程度に留めています。そして今も作品制作においては、その域を出ていないかもしれません。
作品制作は広告撮影のようにデジタルを駆使するチームワーク作業と正反対で、従来の手法で孤独に自分自身と向き合うことになります。
この「Breath.」のシリーズは僕にそういう時間をもたらしてくれた最初の作品でした。