さくら。

桜には格別の想いがあります。

会社員時代、本当に忙しい時を過ごしました。自分の要領が悪かったせいで時間と心にゆとりが無く、移ろい過ぎてゆく季節に想いを馳せることなどありませんでした。
20代が終わろうとした時に、通勤バスの車窓から見る桜に、「自分にはじっくり桜を撮る機会が訪れるんだろうか?」と思った瞬間から、独立へのカウントダウンが始まったように記憶しています。

そして独立して間もない頃、奇しくも「さくらの香り」のスパークリングワインのイメージカットの仕事が来ました。
桜の開花前に発表される広告なので、一年前に撮影するのですが、なにしろ自然相手の仕事ですから、スケジュールに余裕が無いと受けられません。
花見客を避ける意味で明け方からスタンバイして、結局4日間通って撮りました。
贅沢な時間の使い方が出来た仕事で、独立した喜びを桜の開花とともに味わったのを覚えています。

以降、毎年何かしらの形で桜にカメラを向けていますが、今年はプライベートでも思い入れのある写真が撮れました。(ここでは公開しませんが。)
入学式に桜が満開になるなんて運が良いですね。これからの学校生活、いろいろあるんでしょうけれど、この春の緊張感と希望を忘れずに育ってもらいたいものです。

追記:ブログ画像の撮影機材に関してよく尋ねられますが、
基本的にギャラリー取り扱い作品以外の画像はすべて携帯の写メ(iphone)です。
あしからず。。

そろそろカメラの話を。

ブログを始めて一年が経ちました。
「写真家のブログなのに、カメラの話が全く出てこないんですね。」と、多くの方々から突っ込まれることが多い、今日この頃です。
カメラ業界の皆様の努力をフイにするような発言になりかねませんけど、、、
申し訳ありません。実はカメラ自体にはあまり興味ないんですよね〜。

でも「興味がない」とはいえ、大切な道具。
幅広く関心を持てないというだけで、「何でも良い」というわけではありません。

ご要望にお応えして、僕の撮影機材を(小出しに)ご紹介していきます。
ちょうど今朝、作品を撮りに行った時に使用したカメラの紹介です。

Nikon F4

「Nikon F4 」。実はもう少し大振りの「F4S」というモータードライブ付きのカメラを数台所有していたのですが、どれも20年以上酷使して不具合が出てきたので、昨年末に引退してもらいました。
これは、父が現役の頃に使っていたF4(モードラ無しのタイプ)で、奇麗な状態のまま隠居していたので、「もう少し働いてもらおう」と拝借してきたものです(笑)。

Nikonに関してはF3の代から使っていますが、F4は「自分の身体の一部」と言える程、相性が良く、自分のフォトグラファーデビューの時期とも重なるので思い入れのあるカメラです。確か5台程使ってきました。

いまの一眼レフカメラは、右手の人差し指と親指で二つのジョグダイヤルを操作して「シャッタースピード」と「絞り値」を制御する機種に切り替わってしまいましたが、僕の場合これがダメなんです。(オートフォーカスも。)

幼い頃からカメラに慣れ親しんだせいで、「右手はシャッタースピード」、「左手は絞りとピント」というふうに身体と脳が出来上がっちゃったんですよね。。
一時期NikonF6も所有していたのですが、結局このせいでF4に戻っちゃいました。

画像をご覧いただくとお分かりのように、外観はかなりカスタマイズしています。
「飽きたら売ろう」とか考えていないので、加工することに抵抗ありません。
それでもこのF4はまだ手を加えていない方でしで、機種によっては三脚用のクイックチェンジャーを取り付ける為に削ったり、裏側に穴を空けたり、必要な部分を液化ゴムで周囲を覆ったりもします。
今はスタジオで使うことがないので、ハタノヒロシ君に教えてもらった、タスキ掛けできるストラップの「BLACKRAPID」を装着しようかと企んでいます。

メインのレンズはCarl ZeissのPlanar50mm/f1.4。最近は専らこれ1本。
Nikkor45mm/f2.8もよく使ってましたが、50mmで「少し長いな」と感じる時は、
大抵もう1台持ち歩いているカメラ(ライカ)に35mmを装着しているので、
そちらに持ち替えることが多いです。
ああ、やっぱりメカの話は肩が凝るなあ。。
特に今回は進行中の作品の機材だから作品の内容にも言及できないし。

でも振り返ってみると、昨年4月にギャラリー・ヴィグロワのオープニング企画展で発表したこの作品はこのNikonF4によるものです。

「群青」より。

スナップ撮影では被写体に出会ったとき瞬時に構えられるのが一眼レフカメラの利点ですね。

えっ、「まだフィルムカメラなんですか?」って。。
そっか、そこから話を始めなければならなかったんですね。。
僕は仕事では99%デジタル。作品制作は約8割がフィルム撮影です。
時間やコストの問題で仕事ではしょうがないけど、作品では好きなものを使っていきたいですから。

今後もできるだけ撮影した作品と併せて使用機材を紹介していきますね。。

春の嵐。

嵐の関越道。

日本中を嵐が吹き荒れました。
「爆弾低気圧」と聞き慣れない用語も耳にしましたが、季節の変わり目ごとに覗かせる自然の力が荒々しくなってきている気がします。
嵐で会社が「半休」になる事態ってあまりなかった気がしますが、自然の猛威に抗わなくなった姿勢は正しいのでしょう。

この季節、アトリエまでの道に落ちている桜の花を拾ってくるのが、日課となりました。満開になる前の嵐で良かったと胸を撫で下ろしています。

桜の下を通るときは咲き誇る枝を見上げがちですが、子供の名前に拝借してから、路上に散る花びらさえも安易に踏めなくなってしまいました。

先日リニューアルした、サイトのトップページ2枚目の作品も、こうしてアトリエの窓辺で撮影した作品なのでした。

2012/04/05の桜

「silhouette」展の開催が決まりました。

通勤電車の中に卒業式の装いをちらほらと見かけるようになりました。ようやく春ですね。

早いもので前の個展から3ヶ月が経とうとしています。
僕もそろそろ次の発表に向け動き始めなければなりません。

思えばちょうど一年前、震災後の混乱の中でオープンを決行したギャラリー・ヴィグロワさんですが、やはり前のめりに突き進むところは勢いがあるのでしょうか。
年末の「Life」展開催中には「まだスケジュールに余裕がありそうだし、秋頃に次回個展を。」なんて思っていたんですが、ギャラリーの日程があっという間に塞がってしまい、またしても年末の開催となりました。

先日、無事プレゼンも終え、会期が正式に決まりましたのでここにお知らせいたします。

(まだ作品の全貌はお伝えできないため、ギャラリーの告知画像を流用させて頂きます。)

会期:2012年12月5日(水)〜16日(日)
会場:ギャラリー・ヴィグロワ(東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅から徒歩2分)
http://www.viglowa.co.jp/

作品の概要や準備の行程は順次このブログでもお知らせいたしますので、宜しくお願いいたします。

ひな祭り。

雛祭り、、でしたね。
なのに家族揃って体調崩して、気がつくと終わっていた感があります。
見事な家族間でのウィルスリレー(?)でした。

僕に至っては今年に入ってから、調子が良かった日の方が少ないんじゃないかと思うほど、風邪や胃腸炎に苦しみ、家族からひんしゅくを買っています。
(大きな仕事の時は何とか、かわしているところは相変わらず強運なのですが。)

そんなわけでこのブログも滞りがちですが、寝てばかりいるわけではありません。
どれもまだ公表できる段階ではありませんが、作品発表の準備に追われています。
今年は2回の個展と、別の手段を使っての発表を計画しています。

そして、コマーシャルの撮影の方も精力的に勤しんでいきますので、
業界の皆様、宜しくお願いいたします。
もう、悪いところは出し切りましたので、コンディションはバッチリです。
去年まで花粉症の疑いがありましたが、アレルギー検査の結果、シロ(陰性)でした。

さて、だんだん暖かくなってきたことですし、少しずつ、外に出て身体を動かしたいと思います。

まだまだ、インフルエンザなど流行っていますが、皆様も御自愛下さい。
(お前に言われたくないって。。。?)

海へ。

家人の調子が悪い。
と、いっても病気というわけではなく、何かが欠落したような、
ぽっかり穴が開いたような心持ちなのが表情から見て取れた。

三年前の夏は毎週、海に出掛けた。
二年前は忙しくて一度も海に行けなかった。
そして昨年は原発事故のこともあって、何となく足が遠のいていた。

僕はどちらかというと山派。(登山するわけじゃないけど。)
海は開放的になるどころか、自然の驚異を目前にして不安な気持ちになる。
でも僕以外の家族は根っからの海好き。
天気が良さそうな日曜日の朝、久し振りに海に行こうかと誘ってみた。

電車に揺られること一時間半。湘南の茅ヶ崎海岸に到着。
海が苦手な僕も、この街の空気に初めて触れたとき、移住を検討したことがある。
駅のホームに降り立った瞬間、空気の違いを感じる。
都心でのストレスを忘れさせてくれる自然との距離感は
海好きでなくてもそそられるものがある。

海岸まで真っ直ぐ延びる道を歩くと、
迎えてくれたのは海というより、太陽の乱反射だった。

海岸沿いをただ歩いたり、キャッチボールしたり、
サーファーを眺めたり、ただそれだけの時間の使い方だったけれど、
帰途に就く頃には、皆良い顔になっていたように思う。

パワースポット。

明治神宮。

寒波が列島を覆った1月末は、外に出ることに躊躇いがちでしたが、平日の空いた時間を利用して明治神宮へ参拝に行きました。
明治神宮は自分にとって大切な場所で年に何度か訪れるようにしています。

35年前、まだ小学5年生だった冬休みに初めて東京に来ました。

新宿の高層ビル街、カラフルなタクシー、数分おきに発車する電車、テレビでしか東京を知らなかった僕には全てが衝撃的でした。
その旅のメインイベントが明治神宮参拝と、国立競技場で行われたサッカー天皇杯決勝観戦。(確か、ヤンマー対フジタ戦だったと思う。)
奇しくも、その明治神宮と国立競技場のほぼ中間地点に独立後、アトリエを構えることになりました。(全くの偶然ですが、潜在意識がそうさせたのでしょうか?)

そして今、明治神宮に参拝に来る度、初めて東京に来た時の感激がこみ上げてきて、自分がこの街に居る意義をしっかり考え直す時間になります。そういうわけで明治神宮は自分にとって特別な場所なのです。

数年前から「パワースポット」という言葉が流行りだし、『明治神宮御苑にある「清正井」を撮影して画像を待ち受け画面にすると縁起がいい。』と噂されるようになりました。以来、御苑の入り口は長蛇の列で「2〜3時間待ち」の看板が掲示されていることもしばしば。
ですが、今日に限って御苑の入り口にいつものような行列が無いことに気付きました。
これも「お導き」と思い、拝観料の500円を支払い構内へ。

井戸のことばかりがクローズアップされる御苑ですが、敷地は開放感があって空気の清々しさが寒さに勝る場所でした。池には普段、都内では見かけることがない大きな白鷺が飛来。(ずっとここに生息してるんだろうか?)
今まで参拝の為に通っていた参道、本殿も広いですが、これまで歩いていた所は神宮のほんの一部なんだと思い知らされました。

肝心の井戸の画像ですが。。
ここでの公開はやめておきますね。
素敵な場所ですので、どうぞ時間をつくってご参拝下さい。
僕のブログ画像で満足されてはご利益がないでしょうから。

月刊「コマーシャル・フォト」2月号掲載。

1月15日発売の玄光社「コマーシャル・フォト2月号」に
4頁の特集を組んで頂きました。是非ご覧下さい。

http://www.genkosha.co.jp/cp/

僕自身、慌ただしく年末を過ごしたせいで
「Life」展の総括が出来ていませんでしたから、見つめ直す良い機会になりました。

そしていよいよ今年の仕事も始まり、、、と思いきや、
撮影が急遽延期になり、またしても作品モードの一週間からスタートです。

作品は新しい試みの上、試行錯誤の途中ですが自分らしいものになりつつあります。
ステートメントを書くようになってから、常にテーマが先にあるので
スタジオに入ってからはあまり悩まなくなりました。
この一週間で他にも全くジャンルの違うテーマの写真も撮りましたが、
こうして自分と向き合いながら、新しい課題を見い出していくのでしょう。

新年早々、「コダック社がフィルム部門を他部門に吸収合併」のニュースが流れました。
仕事ではほとんどがデジタルになって久しいですが
作品制作においてはフィルムが残っている限り、選択肢の一つとして使い続けていきたいと思ってます。

そしてようやく風邪も完治し、遅めの初詣に。

「今年も奮励努力致しますので、どうぞ御見守りください。云々。。」

いろいろあった2011年をバネにして、飛躍の年にいたします。

明けましておめでとうございます。

始まりました。2012年。

が、、、年末の疲れが出たのか大晦日から風邪で寝込んでしまい、
世間様から一歩遅れてようやく本格始動しました。

今年の目標は「体調管理」の一言に尽きますね。
健康の有り難さをしみじみ感じた正月休みとなりました。

(とはいえ、新しいプロジェクトに向けて2日からシャッターは押していましたが。)

というわけで
本年も宜しくお願い致します。

良いお年を。

アトリエの窓から。2011/12/28

2011年もあと僅か。

今年は発表に力を入れた一年でした。
2月の「Professional photograph exhibition」(レクトヴァーソギャラリー) に始まり4月ギャラリー・ヴィグロワのオープニング企画展、 5月には初の個展となる「Breath.」展 、 そして12月の「Life」 展。

3月には震災に見舞われ、アトリエも甚大な被害を受けましたが、沢山の方々に支えられて乗り越えることができました。

今後も僕にできることを一つずつやっていくだけです。

今年はややペースダウンしましたけど、どんどんコマーシャルワークやりますよ。
あんな楽しいこと、なんでブレーキをかけなきゃいけないんだろうか。

「広告写真と二股かけての作家活動は海外では不利(無理)。」って言われても、関係ないです。
「広告は終わった。」とか仰る方の意見は無視はできないけど、僕は続けます。
ここまで僕を育ててくれた業界に恩返しも未だですしね。

というわけで年明けから撮影が待っています。
正月休みに鋭気を養って動き出します。
いつまでも不景気や震災のせいにはできないから。

そして、個展もやります。未発表の作品が待っていますからお楽しみに。。

皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。
そして来年も宜しくお願いいたします!