越後妻有。

前回のブログに記した帰省の後に、亡父の友人と初めて新宿で会食したのですが、
「お盆の14日に富山で再会しようか?」とのお誘いに、
「是非!なんとか調整してみます。」と答えていました。
最近は仕事の予定が急に入ることが多いので、直前になってしまいましたが帰郷を決め、富山市石金の「寿司松」で再会を果たしました。
(前の帰省から一ヶ月も経っていません、、。)

そして翌朝、墓参りをしてUターンラッシュを恐れつつ、一路東京へ、、。のつもりでしたが、思い切って越後妻有まで足を伸ばしました。
時々、僕の撮影を手伝ってくれる小山一平君が
「仮設住宅式作家滞在型アートプロジェクト生活」に参加してるんです。
http://batsukamachi.blogspot.jp

小山一平君。

灼熱の中、一平くん頑張ってましたよ。
自分達で作ったアトリエ兼住居に招いてくれて、「こっちで撮った作品観てください」って、ハートも気温も超ホットでした。いいね〜。

小屋の手前にある骨組みが制作中の部屋型カメラ。
骨組みは未だちょっと傾いてるけど、やってることが羨ましい程、真っ直ぐ。
若いって素晴らしい。(彼の場合は若さだけじゃない。)

帰り際、「里山現代美術館(キナーレ)のボルタンスキーの作品だけは、是非観てから帰って下さい。」なんて言われたら素通りできない。
で、会場に着いたら出迎えてくれたアートがこれ。

C.ボルタンスキー 「No Man's Land」

今まで直接観たアートの中ではスケールは一番かもしれない。
一平君、教えてくれてありがとね。
どちらも凄く良い刺激になったよ。

いつもは旅の予定をきっちり決める(詰め込む)んですが、
今回は一人旅なので自由気ままにドライブ。

そういえば父も、フラリと知人を訪ねることが好きな人だったな〜と思い出しました。
帰りは案の定、大渋滞に巻き込まれたけど、とても良い旅でした。

暑中お見舞い申し上げます。

今年も行ってきました、ミラージュランド。

忙しいというのに無理矢理、夏休みをとってしまったので、
帰京後のスケジュールがてんこ盛りです。

珍しくブログも放置してしまいました。

とりあえず、夏らしい画像を。

皆様、熱中症にお気をつけ下さい。

三鷹。

週末の授業参観の代休を利用して「三鷹の森ジブリ美術館」へ行ってきました。

実は3年前にも訪れたのですが、ミニシアターに入ろうと並んでいた時に、娘の具合が悪くなり、30分で退出した苦い思い出の場所。

あいにくの空模様でしたが、今回は充分に堪能してきました。

アニメーターの仕事現場を再現した部屋は、写真家のアトリエに共通する部分が多く、作家の情熱が伝わる興味深い展示でした。

「となりのトトロ」の「めい」が登場する「めいとこねこバス」も面白かったです。
(オススメなのですが今月いっぱいの上映だそうです。)

行き帰りに散策した井の頭公園も最近お気に入りのスポットです。

浅草。

毎日通っていた参道。

災害や事件事故に見舞われた方々の悲しみとは比べようも無いのですが、自分も大切にしていた人や物との別れが多い数ヶ年を過ごしました。

そして僕以上に大変な思いをなさった友人が身近にいて、最近は柄にも無く「人生」について深く考えてしまいます。

僕の場合、自分の身に降り掛かることを「他人や社会のせいにし過ぎちゃいないか」と猛省し、初心にかえるべく学生時代を過ごした浅草に出かけることに。

「学校は中野坂上なのになぜ浅草に?」と在学中からよく尋ねられましたが、先に上京していた5歳上の兄が住んでいたマンションに居候したのです。

田舎から出てきたばかりの僕にとっての浅草は「下町」というより「観光地」であり、安易に溶け込める雰囲気ではありませんでした。
そして「三社祭」などの東京ならではのイベントが多い街ですから、授業の課題になったり、所属していた報道写真部(!?)の活動の舞台にも扱われることが多く、切り離せない場所。つまり、不安と焦燥の塊を背負っていた辛い時代を過ごした街ですから、引っ越してからは滅多に足を運びませんでした。


上京した年に仁丹塔が解体され、浅草ビューホテルがオープンし、隅田川のさくら橋が開通するなど、目まぐるしく変化した時代でしたが、今はなんと行っても「東京スカイツリー」が新しいランドマークとしてそびえ立っていて、時の流れを感じずにはいられません。

昼食後、同行した家人の強い推しに負け、当時住んでいたマンションを探してみることに。
入居当時には既に「新しい」とはいえない建物だったので残存しているか不安でしたが
記憶を辿って歩みを進めると、周囲の風情もそのままに残っているではありませんか。。

エントランスはリフォームしたようでしたが、他は25年前と全く変わらない様子でした。
オーナーが愛情を持って大切に管理なさっているんでしょうね。

都会では、まだまだ使えそうな建物を取り壊しては新しいマンションや商業施設が建ち並びますが、新名所の傍らでこうして変わらない場所があることに安堵します。

僕のわがままで約束を破って、家業の跡取りを蹴ったために父とのと軋轢が生じてしまい、兄とも顔を会わせ辛くなり、友達の家を泊まり歩いた時もありました。
途方に暮れて歩いた隅田川のほとりも、妻子と一緒に過ごすと感慨深いものがあります。

sakuとさくら橋とスカイツリー。

上京して四半世紀。特に最近は得るものより手放すことが多い時期でしたが、今ここに一緒に居てくれる家族、そして仲間たちに、あらためて「感謝」できたショートトリップでした。

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鎌倉。

ご来賓の皆様と新郎新婦。

晴天の日曜日、独立後最初のアシスタントだった「Yori」こと福田依子さんの結婚披露宴で鎌倉に行ってきました。

訳あって大道芸人のように大きいトランクと三脚を抱えて、江の電「七里ケ浜駅」から、てくてくと会場のホテルまで歩きました。でも、スーツを着ていても苦にならない程、爽やかな午後。(案の定、道路は大渋滞。)

新郎は先日のブログ「図解 東京スカイツリーのしくみ」でもご紹介したUemus(株)代表の植村さん。もう何度も飲みに行って、彼とはすっかり意気投合しています。

ご来賓の皆様も新郎新婦の人柄を象徴しているような素敵な方々ばかりで、終止リラックスムードで家庭的な披露宴でした。

福田家三姉妹による三重奏。

僕は式の前半、スピーチしたり、大型カメラを抱えて動き回っていたので(大荷物の理由。)、美しい夕暮れのスナップ画像がほとんどなく、ここでご紹介できないのが残念ですが大海原に面した素敵な会場でした。

Yoriが在職してくれていた時のエピソードは沢山あり過ぎてネタは尽きませんが、一つだけ暴露話をしてしまいました。(僕にマイクを持たせた方が悪い!)

そして宴席で話せなかったことで、どうしてもお話ししたいことをこの場でひとつご紹介します。

僕自身はずっと「食べる」ことに無頓着だったのですが、Yoriのおかげで「食」に対する意識が変わりました。彼女は昼ご飯を食べながら、「今夜の夕食のことを考えると幸せな気分になる」と言う程、「食」を大切にしています。(ただの食いしん坊?)
今でこそ「食育」という言葉がありますが、食事は人間形成において大切な要素だということを弟子に教えられました。
そんなわけで、高砂席での彼女の食べっぷりも、ご友人から笑いが漏れる程、豪快。
でも、決して品がない訳じゃないんですよね。

このブログをご覧の方の中にもYoriをご存知の方がいらっしゃると思いますが、どうぞこれからも、師弟共々宜しくお願いいたします。

植村さん&Yori、どうぞ末永くお幸せに!

追記:茂住君、四方君、機材運搬を手伝ってくれてありがとう!

憧れの写真家との対面。

写真家 宮澤正明さん(左)と。

5月20日の昼下がり。僕にとって忘れられない時間となりました。

お世話になっているクライアントの「MORE!! SMILE」キャンペーンで写真家 宮澤正明さんの撮影現場にお邪魔しました。

20数年前、「写真の道で生きて行こう」と決意しながらも不安に苛まれていた頃、宮澤さんの『夢十夜』という作品に出会いました。
赤外線フィルムが描く、非現実的な光に満ちあふれた、その作品に魅了されました。
僕も同じ手法で撮ってみたのですが、「機材、手法だけを真似ても駄目なんだ」という基本を教わった気がします。

その後の宮澤さんのご活躍は目に留まる機会が多く、尊敬する先輩と意識して過ごしてきました。撮影以外の場でも、伊集院静さんのエッセイにも取り上げられましたし、「はなまるマーケット」にも写真講師、審査員としてご出演なさっていた記憶があります。オノヨーコの「グレープフルーツジュース」という作品集にも著名な写真家の方々と参加なさいました。(同書は今でも僕のバイブルとしてデスク脇に置いてあります。)。

そして時が経ち、7年ほど前から「Kashikey Brown Diamond」のお仕事で、宮澤さんが人物イメージを撮り、僕が商品写真を撮らせて頂くという、大変名誉な関わりを持たせて頂いています。しかしながら、お目にかかったことはありませんでした。

「Kashikey Brown Diamond」 パンフレット。

スタジオにお邪魔して、アートディレクターの江口さんからご紹介いただいてからというもの、すっかり舞い上がってしまい、柄にも無く記念写真までお願いしました。

片隅で撮ってもらおうと江口さんに僕のiPhoneを渡したら、僕以上に機械が緊張したのか(?)シャッターが切れず、そしたら「せっかくだから、こっちの光で撮ろうよ。」と仰ってくださり、撮影用のセットの中でしかも本番用のカメラで撮って頂きました。
(トップの画像は江口さんのiPhoneで撮って下さったものです。)
宮澤さん、お仕事中にすいませんでした。

写真を続けるうちに、ユゼフ・スデック、マイケル・ケンナ、アービング・ペン、田原桂一といった国内外の多数の写真家を知ることになり、それぞれに尊敬の念は抱いていますが、学生時代にノックアウトされた写真家は初恋の相手のように、いつまでも格別な存在なのです。
僕は元来、ミーハーとは対極な性格なので、たとえ目の前に自分にとってのアイドル(E・クラプトンやChar)が現れても平然としていることは間違いないのですが、宮澤さんに会ったときは別でしたね。。ただの小僧になっちゃいました。

さて、いくら尊敬している写真家とはいえ、同時代に東京を拠点に活動する写真家同士なのですから、いつまでも同業者を褒め讃えてばかりでは、宮澤さんにも失礼にあたるかもしれません。

僕も後進に良い影響を与え続けることが出来るよう、精進せねばと気持ちを引き締めたのでありました。

燕子花。

5月20日午前。
僕の写真展のポスターを手掛けて下さったデザイナーの國定さんに勧められて、根津美術館の「KORIN展」を観に行きました。

同美術館蔵「燕子花図屏風」とN.Y.メトロポリタン美術館所蔵の「八橋図屏風」が並んで展示されることは、滅多に無いこと(生きている間は無いかも?)と教えて頂き、最終日に駆けつけました。
この二つの大作は勿論素晴らしかったけど、布袋さんがいつも背負っている袋を放り出して蹴鞠をしている「蹴鞠布袋図」も大好きだなあ。尾形光琳の世界を堪能しました。

そして庭には燕子花(カキツバタ)が。

「リアル燕子花は枯れ始めてたけど館内では咲き誇っていましたね〜。」とは國定氏の弁。
爽やかな日曜日に素敵な燕子花に巡り会えて幸せです。

「図解 東京スカイツリーのしくみ」。

このあいだのブログで「東京の新名所のように建造物の高さを競うのも良いですが、、、、。」と書きましたが、元アシスタントの四方雅敬(シカタマサヒロ)君が「仕事で関わった本が出来ました。」と届けてくれたのがこれ。。(汗。)

この頁の写真は全てⓒ四方雅敬。

なんと「構成・文」の担当はuemsの植村昌人さん。
植村さんは僕が独立して最初の助手だったYoriの旦那さんであり、今では僕の大切な飲み友達でもあります。

みんな頑張っているなあ。たまには僕も仕事の仲間に入れてね。

「図解 東京スカイツリーのしくみ」は子供にわかりやすい作りになっていますが、
大人でも楽しみながら知識を得られます。
オープンまであとわずか。皆様是非、書店で手に取ってみて下さい。

こうして僕の書棚の「仲間たちの書籍コーナー」に、また一冊作品が増えました。
嬉しいですね。

ほんの一部です。

 

新緑。

桜が終わって、森の緑も一気に芽吹いてきました。

連休の初日に四葉のクローバーを探しながら散歩していると、隣接する旧集合住宅の解体工事が終わっていることに気がつきました。

嬉しいことに棟の間に生えていた木々が残ったままに。
暫くすると新しい住宅地に生まれ変わるらしいのですが、今だけは緑にあふれています。

東京の新名所のように建造物の高さを競うのも良いですが、緑も守ってもらいたいものですね。街を見下ろしたらコンクリートジャングルしか見えないんじゃあ、あまりにも寂しいですから。
(自分の住まいもマンションなので図々しい発言ですが。)

撮影データ(Breath.) 。

「Breath.」のポジフィルム。

前々回はカメラの話に触れましたが、やはり皆さんご関心がおありなのですね。
意外な反響がありました。

先日も「ブログの画像は写メです。」と書いたら、これも驚かれました。
僕の腕じゃなく、携帯電話の性能が良いだけですが、アシスタント達たちからも
「何使って撮っても、同じように撮るんですね。」とよく言われます。
(褒め言葉としてとっておこう。。)

他にも撮影方法に関しての質問を受けることがあります。
僕としても言及できることと、できない(したくない)ことがありますが
差し障りない範囲でお伝えします。
大抵のことはお話ししても構わないのですが、やはり撮影の現場やギャラリーに直接いらして下さった方とお話しする方が楽しいですから。。。

というわけで、まずは昨年ギャラリー・ヴィグロワで発表した「Breath.」のことから。

これは独立した1999年から約8年に渡って撮り続けてきたシリーズですが、すべてポジフィルム撮影です。(FUJI RDPⅢ Provia)
使用機材はTOYO-VIEW 4×5。(一部 8×10カメラ&フィルム使用。)レンズはシュナイダー社のアポ・ジンマー240mm。(8×10使用時は360mm。)
すべてストロボ(COMET CX-2400)1〜6灯で照明。絞り値はほとんどが f32.1/2 近辺です。

TOYO - VIEW 4×5G

このTOYO-VIEWというカメラはデジタル化になった広告撮影の現場でも第一線で使用しています。シンプルですが拡張性があり気に入っています。

余談ですが昨年の震災で1台が破損してしまいました。パーツを組み替えて使えるのがこの機材の良いところなので、使える部品はひっそりと待機しています。

さて、作品の話に戻ります。

Breath.

白背景と黒背景のパターンがありますが白背景はライト2灯で白くしています。
黒背景の作品は黒い布を背景にしています。

当時、自分の持つテクニックのほとんどを出し切ったといえるシリーズでしたが、技術だけが際立たないよう意識していました。
今思うと、乳半アクリルの透過光で白背景を作るあたりが、商品撮影を中心にキャリアをスタートさせた自分らしかったですね。

初めてこの作品を抱えてギャラリーの門をくぐった時から「これってパソコンで画像合成しているんですよね。」と(ギャラリストにも)当たり前に言われ続けています。
ですが、ポジで撮影したものをスキャンしてPCを通して出力はしているものの、花の形を変えたり、合成は一切していません。

このシリーズではPhotoshopを使うのはスキャン時に付着したゴミ取りと濃度、色調整程度に留めています。そして今も作品制作においては、その域を出ていないかもしれません。

作品制作は広告撮影のようにデジタルを駆使するチームワーク作業と正反対で、従来の手法で孤独に自分自身と向き合うことになります。
この「Breath.」のシリーズは僕にそういう時間をもたらしてくれた最初の作品でした。